【報告】シンポジウム「学校給食を通じた食育のまちづくり」
ふくしま有機ネット主催のシンポジウム「学校給食を通じた食育のまちづくり」が10月20日(土)に本宮市白沢公民館にて行われました。
告知不足から参加者は30名程度と少なかったものの、子育て中の若いお母さんからベテラン栄養士さんまで、多様な方々が集まり、活発な意見が交わされるなどたいへん有意義な時間となりました。
午前中は映画「いただきます みそをつくるこどもたち」を上映。福岡市のある高取保育園で行われている、玄米、味噌汁を中心とした和食を通じた保育、そして味噌は園児自らが仕込むことによりたくましく成長していく子供たちを追ったドキュメンタリーで、安全な食べ物をこどもに食べさせたい子育て中の親御さんにはお勧めの映画です。11月には喜多方市でも上映会が予定されています。
ミニマルシェには6つのブースが立ち、旬の野菜やこだわりの農産物、手作りのお惣菜、天然酵母パンなどが並びました。生産者と消費者との交流が活発で、盛況でした。
午後には愛媛県今治市の実践例を紹介してもらうために今治市役所の安井孝氏に講演して頂きました。
今治市の学校給食への取り組みは1998年に米を地元産に変えることから本格的に始まり、その取り組みは小麦でパンやうどん、大豆で豆腐などにも広がり、地域にあたらしい産業を創出したこと。
2005年に合併してできた新・今治市は翌年地域農林水産業の振興ビジョンを描き「今治市食と農のまちづくり条例」を制定したこと。その三本の柱が地産地消・食育・有機農業の振興です。これに基づき地域づくりをおこなっていること。
さらに総合学習の時間で、子供たちに食と健康、農業について学ぶ独自のカリキュラムを作成するなど、多岐にわたっていることが紹介されました。
今治市のこれまでの取り組みは安井氏の著書『地産地消と学校給食』コモンズに詳しいので、興味のある方はぜひご覧ください。
午後の部後半は郡山女子大・亀田先生による福島県内の事例報告、さらに子育て中のパワフルなお母さんたちによる自分たちの住む地域での取り組み、県内でもっとも先進的と言われている喜多方市熱塩加納町の学校給食に野菜を納入している農家さんの話があり、その後意見交換が行われました。
自校方式の方がセンター方式よりも小回りが効き、地産地消を進めやすいのですが、センター方式下で、どうやって自分たちの望むような学校給食に近づけていくのか、農業者との連携が道を切り開くでは、などの意見が参加者から交わされました。印象に残ったのは、「学校給食を農業振興策として行った」という安井さんの言葉でした。学校給食からまちづくりにつながったのですね。