知っていましたか? 12月8日は有機農業の日
12月8日は有機農業の日です。
2006年のこの日に有機農業推進法が制定されました。2001年に制定された有機JAS法はいわゆる表示法のため有機農業の理念が全く反映されてなく失望させられましたが、この有機農業推進法の制定には大きな希望を感じました。しかしそれから15年余りが経ち、いまだに有機農業は国内耕地面積の0.5%程度しか広がりを見せていません。
有機農業とは単なる化学物質の投入を禁止する栽培方法を指す言葉ではありません。有機農業の本質は、人が健康で人間的な暮らしをするため、次世代に天然資源の枯渇や気候変動のリスクを残さず、生態系や環境に配慮し、その利益を全ての人類が公正に享受する生産システムを構築し実践することです。しかしながら未だに有機農業は勇気農業と揶揄され手間のかかる農業、儲からない農業、不安定な農業と矮小化されています。(逆に海外では有機栽培の方が投入資材が少なく、技術も向上してきたため慣行栽培よりも低コストと言われ始めています)コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻が引き金となり、それでなくても低い国内食料自給率なのに、その自給分でさえ海外からの肥料や飼料、さらに労働力にどっぷり依存していることが露呈しました。否応なしに構造変換を迫られています。
危機に気がついた市民は声を挙げていますがまだ少数派で、現場に近い(行政やJAなど)ほど動きが鈍い。それは当事者ゆえの葛藤があるからでしょうが、このまま放っておけばいずれ身動きが取れなくなります。
内発的な進展でないことが残念ではありますが、今の状況を糧に有機農業の多面的な効果と持続性をしっかりと多くの人に伝え、例えば学校給食の有機化のように見え易く効果の高いところに力を集めて、変えていくしかないでしょう。この数年の間に、有機農業を黎明期から引っ張ってきた偉大な先達が相次いで鬼籍に入られてしまいました。
彼らが拓いた道を顧み、その道の先へ行かん。