【報告】浜通りの農家を巡るツアーを実施しました
12月1日2日で浜通りの農家を巡るスタディツアーを実施しました。
今回は首都圏だけでなく、県内の他、遠くは北海道からの参加者もあり、さらに職業も公務員、大学教員、NPO職員、野菜の流通に携わる人、大学生、高校生とバラエティに富んでいました。
天候にも恵まれ、浜通りらしい明るい冬の青空のもとで広野町から浪江町までの各農家や復興状況を知ることのできる施設を巡ってきました。
まずは広野町に集合し、二ツ沼公園にある農産物直売所へ。広野町の農家さん20名で運営しており、まだ原発事故で大混乱している最中から店を再開し、当時は数少ない地元の農産物が手に入る貴重な場所でした。現在も元気なお母さんたちが年中野菜を切らさずに供給しています。ちょうど大根などの冬野菜、さらに広野町特産のミカンなどが棚を埋め尽くしていました。短い間でしたが、代表の塩さんにも直売所に対する思い、さらに農業に対する思いなどのお話しも聞くことができました。なぜ地産地消を推進しているのに、広野町の学校給食は地元のコメや農産物を使わないのかと憤っていたのが印象的でした。
昼食は楢葉町で今年オープンしたばかりの農家レストランげんき庵。楢葉町は避難から帰還した人に高齢者の割合が多く、買い物が困難なことからバランスの良い食事をとるのに苦労しているのを目の当たりにしてきた農家・山内富子さんが始めたもの。地元食材をふんだんに使った小鉢がたくさん並ぶ料理を、年金暮らしのお年寄りにも気軽に食べてほしいと、1000円で提供されています。すぐ近くには木戸川が流れており、食後には川の様子を見に行きました。
その後、今年2月のツアーでもお世話になったゆず農家の松本広行さんのところへ。ちょうどゆずと干し柿の収穫が重なりお忙しいところでしたが、畑の前で楢葉町のゆずでの町おこしの経過や、これからについてなどを話していただきました。さらにゆずの収穫を体験を、さらに採ったゆずはお土産にいただいてしまいました。
次に同じ町内にできた放射能廃棄物処理施設を理解してもらうために最近開設された「リプルンふくしま」を経て、今夜の宿「木戸の交民家」へ。ここはゲストハウスで食事は自炊になるので、食事班と温泉班に分かれました。
夜は名物木戸川の鮭、二ツ沼公園の直売所で購入した野菜でお鍋、川内村の特産イワナの燻製などを囲んで、松本さん、さらに大熊町の帰還困難区域で、牛の放牧による農地保全を行っているもーもーガーデンの谷さつきさん、川内村のカフェAmazonやふたばいんふぉのお手伝いをしている川内もりあげっ課の辺見珠美さんも加わって交流会が行われました。
二日目はまたまた鮭尽くしの朝食を堪能した後、11月に富岡町にオープンしたばかりで民間の力だけで作り上げたという震災アーカイブ施設「ふたばいんふぉ」、富岡町のシンボル夜の森の桜並木、民間が進めるメガソーラーを巡り、東京電力がふく一の廃炉状況を伝えるための施設「東電廃炉資料館」へ。ここは事故当時の様子が映像で再現されていたり、時系列的に集約されていたり、現在どのように廃炉作業にあたっているかなども知ることができます。順路最初のシアターで自社の安全対策の甘さが招いた事故だと断言し謝罪するナレーションが印象に残りました。(なのに当時の社長も会長も罪に問われておらず、責任もとっていませんが) また映像を見て、当時のことを思い出し、胸が詰まりました。